
こんにちは。
データベースマーケティングを学んでいると、専門用語や特有の言葉に混乱することがありませんか?
特にアルファベットの短縮用語は、意味をよく知らないと紛らわしく感じることもありますよね。今回は、そんな方々に向けて、データベースマーケティングに欠かせない基本的な用語をわかりやすく解説します。特に、マーケティングにまだ馴染みのない方や経験が浅い方がスムーズに理解できるよう、9つの頻出用語を厳選して紹介します。
※なお、この記事で紹介している内容は、初心者の大学生が調べた情報に基づいています。また、できるだけ用語のイメージが分かりやすく伝わるよう、一部の内容を簡略化したり、例えを用いて説明している場合があります。そのため、正確性に欠ける部分を含む可能性があります。より詳細で正確な情報については、専門書籍等をご参照ください。
マーケティングに関する用語編
〇MA
【MAとは】
MA(マーケティングオートメーション)とは、簡単に言うと「マーケティング活動を自動で効率よく行うための仕組み(または、それに使用するツールのこと)」です。
あるお店で買い物をしたとしましょう。その後、そのお店から「新しい商品が入荷しました!」や「セールのお知らせ」がメールで届くことがありますよね。これも一種のマーケティングです。そして、MAはそのようなお知らせを自動で送ったり、お客さんがどんな反応をしたかを追跡したりする仕組みを作るためのものです。
MAの大きな特徴は、手作業ではなく、お客さんの行動に合わせて、あらかじめ決めたプロセスに従って自動でメッセージを送ったり、情報を整理したりすることです。例えば、商品の購入履歴を元に「この商品を買った人は、こんな商品にも興味があるかもしれません」といった提案を自動で行うことができます。
【MAを導入するメリット】
①作業効率向上
手作業に頼っていた部分を自動化することで、マーケティング活動の劇的な効率の向上が期待できます。
②見込み客の取りこぼし防止
見込み客(将来のお客さんになりそうな人)に対して、最適なタイミングで必要な情報を提供することで、購買のチャンスを逃さないようにすることができます。
③営業活動の質を揃える
営業担当者の個人に依存しすぎることなく、全体の営業活動を安定させることができます。マーケティング活動の反復作業が自動化されているので、見込み客が営業担当者にスムーズに引き継がれ、受注率の向上が期待できます。
データ駆動型の高度な分析
ツールなどを使うことで、顧客の行動データを一元的に管理し、詳細な分析をすることが可能になります。Webサイトの閲覧履歴やメールの開封率、資料のダウンロード履歴などを駆使して、精度の高いマーケティング戦略を構築できます。
〇CDP
【CDPとは】
CDP( Customer Data Platform )とは、一言で言うと、「顧客データを一元管理し、マーケティング活動を最適化するためのプラットフォーム」です。
現代の顧客は、例えばオンラインストア、実店舗、アプリ、SNSなど、オンライン・オフライン問わずさまざまなチャネルで企業と接点を持ちます。
しかし、各チャネルで取得したデータがバラバラに管理されていると、顧客の行動や興味関心を正確に把握することは難しくなります。
そこでCDPは、ウェブやアプリ、店舗など様々なデータソースから顧客データを収集し、名寄せ処理を行って個々の顧客単位にデータを統合し、顧客のプロファイルを作成します。
以下のように必要に応じて様々なデータを集めます。
- 基本属性
- 名前、年齢、性別、居住地
- 購買履歴
- 購入日時、商品名、金額、購入頻度
- ウェブ行動
- ページ閲覧履歴、滞在時間、カート放棄
- アプリ利用
- アプリ内の操作履歴、使用頻度
- メールエンゲージメント
- 開封履歴、クリック履歴、反応率
- 顧客サポート
- 問い合わせ履歴、対応履歴
- CRM
- 商談履歴、営業活動記録
【CDPでできること】
CDPの活用事例について考えてみましょう。例えば、月額サブスクリプションの形でドラマやアニメなどを見ることができる動画配信サービス。こういったサービスでも、顧客データプラットフォーム(CDP)を活用することで、ユーザーの満足度向上や解約防止に貢献することができます。
例えば、動画配信サービスでは、ユーザーの視聴履歴や評価データ、再生傾向などをCDPで統合・分析し、パーソナライズされたコンテンツ推薦を行います。これにより、ユーザーは自分の興味に合った作品を簡単に見つけられ、サービスの利用満足度が高まります。
さらに、CDPは解約防止にも活用されます。たとえば、利用頻度が低下しているユーザーを自動的に検知し、特別オファーや「おすすめ作品」の通知を送ることで、再度サービスを利用するきっかけを提供します。また、顧客からのフィードバックデータを収集・分析し、サービスの使い勝手やコンテンツ内容の改善につなげることで、顧客満足度をさらに向上させることが可能です。
また、MAツールや、後ほど説明するBIツールとの連携も可能で、より効率的にマーケティング活動をすることができます。
データ統合・処理基盤編
〇ELT,ETL,リバースETL
【ELT,ETL,リバースETLとは】
様々な形で、様々な場所に保存されている社内のデータを効率よく活用するには、データを移動・変換・共有する仕組みが必要です。
その仕組みを支えるツールがETLツール、ELTツール、そしてリバースETLツールです。
これらは似ている部分もありますが、それぞれ役割が少しずつ違います。
1. ETLツールとは?
ETLは、以下の3つのプロセスでデータを処理します。
- Extract(取り出し):データをいろいろな場所(例:販売記録やアプリデータベース)から取り出します。
- Transform(変換):取り出したデータを使いやすい形に変えます(例:売上データを月ごとにまとめる)。
- Load(読み込み):変換したデータを、分析のために専用のデータベース(データウェアハウスなど)に保存します。
ETLツールは例えば、 売上データを毎月集めて、どの商品が人気かを分析したい場合などに活用することができます。
例えば、「売上データ」と「顧客データ」を別々のシステムから取り出し(Extract)、形式を揃えて(Transform)、分析用のデータベースに保存する(Load)。といったようなイメージです。
2. ELTツールとは?
ELTは、ETLと似ていますが、データ処理の順番が少し違います。
- Extract(取り出し):データをいろいろな場所から取り出します。
- Load(読み込み):取り出したデータをそのままデータベースに保存します。
- Transform(変換):データベース内で必要な形に変換します。
ELTツールは、データが多い場合など、全て一度にデータ変換するのが難しい場合に便利です。例えば、「売上データ」をデータベースに保存しておき、その後必要なデータだけをまとめることができます。
☆ETLとELTの使い分け
ETLはデータを保存する前に加工する方法で、複雑な変換や、オンプレミス環境のようにリソースが限られる場合に向いています。一方、ELTはデータをまず保存してから加工する方法で、大量のデータ処理やクラウドDWHの計算能力を活用する場面に適しています。
ETLはデータを整えてから保存するので、変換が複雑でも対応可能です。これに対し、ELTは保存後に柔軟に加工するため、大量のデータやリアルタイム処理に強いのが特徴です。
最近では、ETLで基本的なデータ整理を行い、その後ELTでデータを高度に分析するというように、両者を組み合わせる使い方も一般的です。これを「ETLTアプローチ」と呼んだりします。
3. リバースETLとは?
リバースETLは、通常のETLプロセスとは逆の方向でデータを流す仕組みを指します。具体的には、データウェアハウス(DWH)やデータレイクに蓄積されたデータを、営業ツール、マーケティングツール、CRM、広告プラットフォームなどの外部ツールに転送するためのプロセスやツールのことです。
分析結果やデータの洞察を実際の業務に活用するための重要な手段として、近年注目されています。
データの流れとしては、以下のようになります。
- データの抽出(Extract):データウェアハウスやデータレイクから、必要なデータを抽出します。
- データの変換(Transform):外部ツールが受け取れる形式にデータを整形します。たとえば、CRMが読み込めるCSV形式やAPI形式に変換します。
- データの転送(Load):整形されたデータを営業ツール(例: Salesforce)、マーケティングツール(例: HubSpot)、広告プラットフォーム(例: Google Ads)などに送ります。
リバースETLを活用することで、データを「実際の業務に活かす」段階に進めることができます。データウェアハウスで分析したデータをシステムに戻すというイメージですね。代表的なリバースETLツールには、Hightouch、Census、RudderStackなどがあります。
〇データレイク、データウェアハウス(DWH)、データマート
【データレイク、データウェアハウスとは】
データレイクとデータウェアハウスは、どちらもビッグデータなどの大量のデータを保管する場所のことですが、保存の仕方や使い方に違いがあります。
1.データレイクとは?
データレイクは、大量のデータをそのままの形式で保存するための仕組みです。保存されるデータは、構造化データ(テーブル形式など)に限らず、非構造化データ(テキスト、画像、音声、動画など)も含まれます。データレイクでは、これらのデータを変更せずにそのまま保存できるため、さまざまな種類のデータを柔軟に取り込むことができます。
例えば、企業が収集するWebログデータ、ソーシャルメディアの投稿、センサーデータ、画像データなど、さまざまな形式のデータを一元的に格納し、その後必要に応じて分析や加工を行います。つまり、データレイクは、データを柔軟に保存しておくための基盤です。
2.データウェアハウスとは?
データウェアハウスは、主に構造化データを整然と保存し、分析やレポートに利用するために最適化されたシステムです。データは、保存する前に予め処理・整形され、必要な形式に変換されます。データウェアハウスでは、通常、売上データ、顧客データ、在庫データなど、企業の意思決定をサポートするために整理されたデータが格納されます。
データウェアハウスは、データを効率的に保存するだけでなく、迅速にビジネスインテリジェンス(BI)ツールを使って分析やレポートを行えるように設計されています。そのため、データは事前に整備されており、分析のためにすぐに利用できる状態になっています。
項目 | データレイク | データウェアハウス |
---|---|---|
データの形式 | 構造化・非構造化データ (テキスト、画像、動画、センサー情報など) | 主に構造化データ (数値、テーブル形式など) |
データの保存方法 | 保存前にデータを処理せず、そのまま格納 | 保存前にデータを加工・整形して格納 |
データの量 | 大量のデータを柔軟に保存 | 比較的少量で、分析向けに整理されたデータ |
使用目的 | データを後で分析、加工するために保存 | すぐに分析やレポート作成に使用できるデータ |
柔軟性 | 高い(どんな形式のデータでも保存可能) | 低い(構造化データが中心) |
3.データマートとは?
データマートは、特定の業務や部門に特化して整理されたデータの集まりです。企業全体のデータを一括管理するデータウェアハウス(DWH)とは異なり、データマートは各部門が必要とする情報だけを抽出・保存し、業務の効率化や迅速な分析を可能にします。
例えば、営業部門向けのデータマートには売上データや顧客リストが含まれ、マーケティング部門向けのデータマートには広告の効果測定データやWebサイトのアクセス情報が格納されたり、といったイメージです。データウェアハウスがデータの倉庫なら、このように、データマートを活用することで、各部門は膨大なデータから必要な情報をすばやく取得し、業務に役立てることができます。
データマートの大きな利点は、分析しやすい形にデータが整理されているため、複雑なデータ処理をせずにすぐに活用できる点です。必要なデータをすぐに取り出せることで、意思決定のスピードが上がり、より効果的な戦略立案が可能になります。企業において、データを最大限に活かすための重要な仕組みのひとつと言えるでしょう。
★データレイク、データウェアハウス、データマートの違い
データレイク・データウェアハウス・データマート、この3つはそれぞれデータを保存する場所ということは共通していますが、保存の仕方やその目的には違いがあるということがお分かりいただけたでしょうか。
本の整理に例えると、データレイクは「巨大な書庫」、データウェアハウス(DWH)は「整理された図書館」、データマートは「特定のテーマに特化した本棚」と考えることができます。
データレイクは、大量の本がジャンルや著者ごとに整理されることなく、倉庫にそのまま積み上げられている状態です。あらゆる種類の本が揃っているため、どんな情報でも見つかる可能性がありますが、目当ての本を探すのは容易ではありません。
一方、データウェアハウス(DWH)は、整理整頓された図書館のようなものです。本がカテゴリごとに分類され、タイトルや著者名の索引も用意されているため、目的の本を素早く見つけられます。データも同様に、一定のルールに基づいて整理・統合され、分析しやすい形で保存されます。
さらに、データマートは、図書館内の特定のジャンルに特化したコーナーにあたります。例えば、「旅行ガイドコーナー」や「ビジネス書コーナー」のように、特定のニーズに応じた本が集められています。これと同じように、データマートは営業部門向け、マーケティング部門向けなど、用途ごとに最適化されたデータが格納される仕組みです。
このように、データレイク、データウェアハウス、データマートは、データの整理・管理の方法によって役割が異なり、それぞれの特徴を理解して活用することが重要になります。

データレイク、データウェアハウス、データマートのイメージ図
データ分析・活用編
BIツール(Business Intelligence Tool)とは、たくさんのデータを分かりやすく整理して、グラフや表を使って「今、何が起きているのか」「これからどうすればいいのか」を教えてくれるデータ分析の道具です。
例えば、
- どの商品が一番売れているのか?
- どの時間帯にお客さんが多いのか?
- どのお店で売り上げが下がっているのか?
といったことを、グラフや図を使ってひと目で分かるようにしてくれます。BIツールの代表例としては、以下のようなものがあります。
1. Tableau(タブロー)
Tableauは世界的に人気があるBIツールで、膨大なデータを読み込んで可視化(目で見て分かりやすいようにビジュアル化)することに特化しています。単純操作なので、初心者の方やエンジニアではない方でも操作できます。
2. Power BI(パワー・ビーアイ)
Power BIは、Microsoftが提供するBIツールです。そのため、同じくMicrosoftのツールであるExcelなどと相性が良いです。Offieユーザーにはおすすめのツールです。データソースからレポートを作成したり、それらをデータの更新に合わせて自動更新することもできます。
3. Looker(ルッカー)
Lookerは、Googleが提供するBIツールです。同じくGoogleが提供するBigqueryなどとの親和性も高く、セキュリティ面での信頼性なども高いです。
おわりに
今回はデータベースマーケティングにおける基本的な用語を中心に紹介しました。ETLやELT、CDPなど紛らわしいアルファベットの単語も紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。理解の一助になれば幸いです。
今回でた用語の全体像は、以下のようになります。CDPは顧客データを一元管理できるツールですが、データレイクからデータウェアハウスへのデータ移動といった機能もCDPツールに含まれており、使うこともできます。
